Topic 01 — 数と量 / Quantity
Per-unit quantity — the one idea behind price, speed, density and crowding
この1年の算数は、ほとんどぜんぶこの話です。分数も、単価も、密度も、速さも、%も、縮尺も、坂の勾配も、「1あたりはいくつ?」を聞いているだけです。
だからこのページは、5つの公式を覚えるためのものではありません。1つの考えを、5つのちがう服を着せて、何度も見るためのものです。
「Aとどっちが安い?」「どっちがこんでる?」「どっちが速い?」
こういう質問には、いつも同じ困りごとがあります。そろっていない、という困りごとです。
3こで240円のふくろと、5こで380円のふくろ。
240円と380円をくらべても意味がありません。こ数がちがうからです。
3こと5こをくらべても意味がありません。値段がちがうからです。
そこで、どちらも「1こ」にそろえます。
1こにそろえてしまえば、あとは値段を見るだけで決まります。
この「1にそろえる」を絵にすると、いつも同じ形になります。上の線に「いくつ分」、下の線に「ぜんぶでいくら」を書いて、1のところを見つける絵です。
1こあたり80円 … そろえたのは「こ」
1分あたり60m … そろえたのは「分」
1cm³あたり7.9g … そろえたのは「cm³」
1km²あたり3人 … そろえたのは「km²」
「あたり」の前の言葉を見れば、何でわったか がいつでも分かります。
式を思い出せなくなったら、単位を見てください。単位が式を教えてくれます。
速さのところで、三角形に「み・は・じ」と書いて、指でかくして使う覚え方があります。
このページでは使いません。 理由は1つです。
この三角形は、意味が分かっていなくても答えが合ってしまいます。
答えが合うので、分かっていないことに誰も気づけません。気づけないまま中学に行くと、単位量あたり・密度・濃度・一次関数の変化の割合が、ぜんぶ別々の暗記になります。
上の1行(1あたり × いくつ分 = ぜんぶ)だけを使ってください。こちらは意味が分かっていないと使えません。それがこの式のいいところです。
ここは解かなくていい節です。読むだけ。3つとも、書き方をそろえてあります。単位を先に書く、というのがその書き方です。
Aのふくろ:3こで240円 Bのふくろ:5こで380円
1こあたりにそろえる。
A 240 ÷ 3 = 80 → 1こ 80円
B 380 ÷ 5 = 76 → 1こ 76円
76 < 80 なので、Bのほうが安い。
ふくろの値段は B のほうが高い(380円 > 240円)のに、1こあたりでは B のほうが安い。これが「そろえないと分からない」ということです。
240 m を 4分で歩いた。速さは?
1分あたりにそろえる。
240 ÷ 4 = 60 → 1分あたり 60 m (分速60 m)
「速さ」という新しいものを習ったのではありません。1あたりを、時間でつくった だけです。
だから逆も同じ式で出ます。10分歩いたら 60 × 10 = 600 m。
鉄のかたまり。体積 10 cm³、重さ 79 g。
1 cm³ あたりにそろえる。
79 ÷ 10 = 7.9 → 1 cm³ あたり 7.9 g (7.9 g/cm³)
これが 密度 です。新しい計算は1つも出てきていません。
g/cm³ の / は「1あたり」と読みます。単位そのものが、何でわったかを書いてくれている わけです。
3つとも同じ形だった、ということだけ持って次に進んでください。
ここからは自分でやります。こたえは開くまで見えません。式を書いてから開いてください。
480 ÷ 6 = 80
こたえ 1本あたり 80円
180 ÷ 3 = 60
こたえ 1分あたり 60 m(分速 60 m)
45 ÷ 6 = 7.5
こたえ 7.5 g/cm³
「1 cm³ あたり 7.5 g」と読みます。これを密度といいます。
A 320 ÷ 4 = 80 → 1本 80円
B 456 ÷ 6 = 76 → 1本 76円
こたえ Bのほうが安い
ここでも、ふくろ全体では B のほうが高いことに注意。
150 ÷ 2.5 = 60
こたえ 時速 60 km
2.5 でわるのがいやなら、こう考えてもよい。0.5時間(30分)で 30 km なら 1時間で 60 km。同じ答えになります。
1 m² あたりの人数でそろえる。
A 9 ÷ 12 = 0.75 人/m²
B 14 ÷ 20 = 0.7 人/m²
0.75 > 0.7 なので、こたえ A のほうがこんでいる
人数だけ見ると B のほうが多い(14人 > 9人)。それでもこんでいるのは A のほうです。
数を出す問題ではありません。文で答えます。
こたえの例:
「広さがちがうから、人数だけではくらべられない。同じ 1 m² に何人いるかにそろえてからくらべないと、こみぐあいは分からない。」
この説明ができることが、この単元でいちばん大事です。
計算はできるのに説明ができない、という状態は、全国学力調査でも入試でも点にならないところです。
240 m を 4分で歩いた例で試してみましょう。
4 ÷ 240 = 0.0166… ≒ 0.017
これはまちがいではありません。ただし表しているものがちがいます。
1 m 進むのにかかる時間(分/m) です。
どちらも「1あたり」です。ちがうのは、何を1にそろえたか。
・道のりを1にそろえた → 1 m あたり何分(ペース)
・時間を1にそろえた → 1分あたり何 m(速さ)
マラソンで使う「1 km 何分」は、じつは前者のほうです。どちらが正しいかではなく、どちらを1にしたか を言えることが大事です。
ここからは算数の服を脱がせます。中身は1つも変わりません。どれも 1あたり × いくつ分 = ぜんぶ です。
1 cm³ の立方体を3つ用意します。鉄、アルミニウム、木。大きさは同じです。
同じ大きさなのに重さがちがう。この「同じ大きさあたりの重さ」が 密度 です。
「鉄は木より重い」は、じつは正しくありません。木の丸太のほうが、鉄のくぎより重い からです。
正しくは「鉄は木より密度が大きい」。大きさをそろえてから言わないと、比べたことになりません。
密度を出すには体積が要ります。でも石やねじは、たてよこ高さでは測れません。
水に沈めて、上がった分 を読みます。押しのけた水の体積が、そのまま物の体積です。
50 cm³ の水に石を入れて 68 cm³ になったら、石は 18 cm³。この方法は中1の理科でそのまま出てきます。
コップAは水100 g にさとう20 g。コップBは水200 g にさとう20 g。
さとうの量は同じ 20 g です。それでもBのほうがうすい。
水100 g あたり何 g とけているか でそろえます。
A 20 g(水100 g あたり 20 g)
B 20 ÷ 2 = 10 g(水100 g あたり 10 g)
これが 濃度 です。中1の理科では「質量パーセント濃度」という名前で、水ではなく水溶液全体でわる形になりますが、考え方はここと同じです。
A町は 4 km² に 12人。B町は 8 km² に 16人。
人の数だけ見れば B町のほうが多い(16人 > 12人)。でも 1 km² あたりでそろえると、
A町 12 ÷ 4 = 3 人/km²
B町 16 ÷ 8 = 2 人/km²
こんでいるのは A町 です。社会科の「人口密度」は、算数の「1あたり」と同じ計算に別の名前をつけたものです。
電気料金の紙には 31円/kWh のような数が書いてあります。これは「1 kWh あたり31円」という意味です。
エアコンが 1時間に 0.6 kWh 使うなら、1時間あたり 31 × 0.6 = 18.6円。
1日8時間で 18.6 × 8 = 148.8円。ひと月30日で 約 4,464円。
家の請求書を1枚持ってきて、実際の数でやってみてください。
インドネシアの Capaian Pembelajaran が Fase C・D で求めている 「literasi finansial(お金のリテラシー)」は、まさにこれです。
| 分野 | 名前 | 何を1にそろえたか | 単位 |
|---|---|---|---|
| 算数 | 単価 | 1こ・1本・1kg | 円/こ |
| 算数 | 速さ | 1分・1時間 | m/分・km/時 |
| 理科(物理) | 密度 | 1 cm³ | g/cm³ |
| 理科(化学) | 濃度 | 水100 g・水溶液100 g | % |
| 社会(地理) | 人口密度 | 1 km² | 人/km² |
| 暮らし | 電気の単価 | 1 kWh | 円/kWh |
| 数学(中2) | 変化の割合 | x が 1 増えるとき | — |
ここは試験と同じ型の問題です。実際の試験問題そのものは載せていません。各問の上に原典のリンクがあるので、解いたあとに開いて並べてください。そうすると「同じ型だ」と自分で気づけます。
全国学力・学習状況調査は、問題・正答例・解説資料の無断転載と複製をはっきり禁止しています。県立入試も再配布に制限があります。PISA と AKM は公開ページに利用条件の表示を確認できませんでした。
このサイトは公開されているので、載せない側に倒しています。そのかわり、出典・年度・何を見ている問題かを書いて、原典に直接リンクしています。
結果的にこのほうが練習になります。先に自分の問題を解いてから本物を見るので、答えを先に読んでしまえないからです。
この問題が見ているもの:計算そのものではなく、どうやってくらべたかを言葉で説明できるか。小学校算数の「活用」の問題は、毎年ここを見ています。数値が合っていても説明がないと部分点にとどまります。
⑴
1 m² あたりの人数にそろえる。
ひかり公園 48 ÷ 1200 = 0.04 人/m²
みどり公園 36 ÷ 800 = 0.045 人/m²
0.045 > 0.04 なので、こたえ みどり公園のほうがこんでいる
⑵ 説明の例
「公園の広さも人数もちがうので、そのままではくらべられません。そこで 1 m² あたりの人数をもとめて、そろえてからくらべました。1 m² あたりの人数が多いほうがこんでいるので、みどり公園です。」
別のそろえ方でも正解です。 1人あたりの面積でそろえてもよい。
ひかり公園 1200 ÷ 48 = 25 m²/人
みどり公園 800 ÷ 36 = 22.2… m²/人
この場合は数が小さいほうがこんでいます。どちらを1にそろえたかによって、大小の読み方が逆になる ので、説明の中に「1 m² あたりの人数で」と書いておく必要があります。
この問題が見ているもの:小学校の「1あたり」が、中学で 変化の割合 という名前に変わるところ。傾きの公式から入った子は、⑶で必ず止まります。「表から読んだこの数は何の量か」を答えさせるのが、この型の狙いです。
⑴ x が 2 増えると y は 11 − 3 = 8 増える。
8 ÷ 2 = 4 → 1分あたり 4 cm
⑵ 1分で 4 cm 増え、はじめに 3 cm 入っているので
y = 4x + 3
たしかめ:x = 4 のとき 4 × 4 + 3 = 19 ✓ x = 6 のとき 4 × 6 + 3 = 27 ✓
⑶ 「1分あたりに深くなる水の深さ(cm/分)」。
これが 変化の割合 です。小5でやった「1分あたり何 m」とまったく同じもので、名前だけが変わっています。
⑷ 水を入れはじめる前(x = 0)に、すでに入っていた水の深さ。
式の 3 は「はじめからあった分」なので、1あたりの量ではありません。ここを混ぜると式の意味が消えます。
この問題が見ているもの:中1理科の密度。県立入試では「測って、わって、表と照らして物質を当てる」形でよく出ます。公式を覚えているかではなく、体積をどうやって手に入れたか が問われています。
⑴ 60.0 − 50.0 = 10.0 cm³
沈めた物が押しのけた水の体積が、そのまま物の体積になります。
⑵ 89.6 ÷ 10.0 = 8.96 g/cm³
「1 cm³ あたり 8.96 g」と読みます。
⑶ 表と照らして 銅
ここで点を落とす人が多いところ:
⑴で「60.0 cm³」と答えてしまう答案がかなりあります。60.0 は水と金属を合わせた体積です。はかったのは差 であることを、図をかいて確かめてください。
また、密度は物質ごとに決まっている値なので、大きなかたまりでも小さなかけらでも同じ数になります。「大きいほうが密度が大きい」は誤りです。
この問題が見ているもの:インドネシアの numerasi の型。特徴が2つあります。いらない情報がまぜてある ことと、割合(%引き)と1あたりを続けて使わせる こと。計算は簡単でも、どの数を使うかを自分で決める必要があります。
まず、いらない情報を外す。
「袋が1枚もらえる」は値段に関係しないので使いません。AKM も PISA も、こういう文を意図的に入れてきます。
C だけ先に割引を計算する。
121,000 × 0.95 = 114,950 ルピア
(5% 引き = 95% になる、と考えるのがいちばん速い。121,000 × 0.05 = 6,050 を引いても同じです。)
1 kg あたりにそろえる。
A 62,500 ÷ 5 = 12,500 ルピア/kg
B 39,000 ÷ 3 = 13,000 ルピア/kg
C 114,950 ÷ 10 = 11,495 ルピア/kg
こたえ C がいちばん安い
袋の値段だけ見ると C がいちばん高い(121,000 ルピア)。ここでも、いちばん高いふくろが、1あたりではいちばん安い という形になっています。
この問題が見ているもの:PISA の数的リテラシー。問題文に「1あたりを求めなさい」とは書いてありません。自分でモデルを立てる ところまでが問題です。答えが割り切れないとき、切り上げるか切り捨てるかを場面から判断させるのも、この型の定番です。
⑴ 1,200 ÷ 40 = 30 → のべ 30台分の運行
⑵ 1台が3往復するので 30 ÷ 3 = 10 台
⑶ 8台 × 3往復 × 40人 = 960人 運べる
1,200 − 960 = 240人 が運びきれない
この問題のうまみ:
⑵で「30台」と答えてしまうのがいちばん多いまちがいです。「のべ運行回数」と「バスの台数」はちがう量です。1台あたり3回働く ので、必要な台数はその 1⁄3。
また、もし人数が 1,210人 だったら ⑴ は 30.25 になります。このときは 31台分 です。0.25台分の運行はできず、余った人を置いていくわけにもいかないので、切り上げ になります。「小数点以下を四捨五入」と機械的にやると 30 になってしまい、10人が乗れません。場面が計算の仕方を決める、というのが PISA の型です。
1問ずつでかまいません。週に1問で十分です。
順番は、解く → 自分の答えを書く → こたえを開く → そのあとに原典のリンクを開いて、同じ型を探す。
原典の解説資料(全国学力調査のもの)には、どんなまちがいが何%あったか まで書いてあります。自分と同じところでつまずいた子が何%いたか分かるので、「自分だけができない」という気持ちにならずにすみます。そこだけでも読む価値があります。